さゆりシリーズ

  1. スポンサーサイト(10/16)
  2. 文句大王(01/26)
  3. 勇気を出して婦人科に(01/25)
  4. 情けない・・・(01/11)
  5. いきなり命令(01/10)


文句大王

2006.01.26(21:34)
 さゆりの父はよく文句を言う。

 お風呂が熱かったと言っては文句を言い、ぬるかったらぬるかったでまた文句を言う。
 熱かったなら、水を入れたら済むことなのに、
「俺を火傷さす気か!」
と鼻息荒く、きつい口調で責める。

 またある時は、蛇口の温度調節部が動いていたらしく、熱いお湯が入っていると勝手に思い込み、確認すらせずに水を足しておいて、ぬるくなり過ぎて怒っている。ちょっとお湯に手を入れて温度を確かめれば済むことなのに、それをしなかった自分には非はなく、勘違いをさせた方が悪いのだといわんばかりに、お風呂を入れた者を責める。

 食事を作っても、美味しいという言葉を言うことはまずない。
 味が薄いだの、まずいだの、言いたい放題に文句のオンパレード。文句を言わないと損くらいに思っている節がある。
 家事が得意ではないさゆりは、文句を言われるとわかっているから、余計に料理する気がなくなってしまう。

 お風呂を入れてすぐに入ることが出来るように準備したり、料理を作ったりということに感謝する、ということを知らない。それどころか、するのが当然にくらいに思っているから、褒めるなんて損にぐらい思っているのだろう。そして、逆に何か文句を言わないと気がすまない。

 自分だって整理整頓出来てないくせに、人が整理整頓出来てないことにはイヤミを言う。
 自分は飲んだら飲みっぱなしなのに、人には飲んだらちゃんとコップを洗っとけ!と、さも当たり前のことのように言う。
 と、自分のことは棚に上げておいて、人に文句ばかり言うものだから、嫌になる。


 一時が万事この調子だから自然と父と共に過ごそうと思わなくなるのだ。


勇気を出して婦人科に

2006.01.25(20:22)
 体調不良の原因が婦人科系統にあるとしたならば、いつまでも放置しておくことは出来ない。また、生理の度に辛い思いをしていることも考えると、一度は受診をしておいたほうがいいだろう。手遅れになりかけた友達の勧めもあってさゆりはようやく婦人科受診を決める。

 その友達の紹介で初診なのに予約を取ってもらい、いざ出陣!
 雪のちらつく中、自転車を走らせる。気合入りすぎで早く着きすぎたものの、入院中の友達の病室で過ごしたり、待合室でも側にいてもらったので不安は半減したけれど、やっぱり初めての婦人科は緊張する。
 
 触診。婦人科の難関は、これに尽きるだろう。開脚し、患部の状態を診る。それが、どのようになされるかわからないから、余計に恐怖心をあおる。それに恥ずかしい・・・
 相手は、医者や看護士な訳だから、何も恥ずかしがることなどない。そうわかっていても不安は募るばかり。
 その不安をわかってか、
「痛くないから大丈夫!」
と友達が力づけてくれる。これじゃ、お見舞いに来たのだか、慰めてもらってるんだかわからない。まるで立場が逆だ。

 待ち時間に看護士さんに問診され、その際、触診の確認を取られた。覚悟の上だったので、はい、と即答。
 少し混んでいたようで、予約時間になってもまだ名前は呼ばれない。早く来すぎたのもあって、待ち時間が長くなってしまったが、友達のおかげで比較的リラックスして待てた感じがする。本当に友達はありがたいものだとさゆりは思う。

 ようやく順番になり、恐る恐る診察室に入る。病院のホームページで担当の先生の写真は確認していたけれど、実物の方が男前だったのがさゆりは少し嬉しかった。
 生理前の不快感や、苛立ち、生理開始直後の子宮を取り去りたいほどの嫌悪感など、いろいろな症状を訴えると、先生は月経前緊張症の説明を丁寧にしてくれた。そのおっとりとした柔らかな物腰に安心感を抱く。
 
 そして、いよいよ触診する時が来た。
 カーテンに仕切られたスペースに入り、下着を取る。その後、婦人科特有のイスに座る。
 なるほど、カーテンに隠れてしまえば、それほどの恥ずかしさはないな、と思う。が、器具を入れられ、触診が始まるとやはり緊張する。少し痛みを感じ、余計に力が入る。
「力を抜いてください」
との先生の言葉にリラックスしようとするが、器具の所為か痛みは強まり、少しの間、痛い痛い、と漏らす。
 少し落ち着くと、右手側の壁にモニターがあり、子宮内部が映し出されていた。患者にも様子がわかるようになっているようだ。

 触診が終わって、もう一度診察室に戻ると、大仕事を終えたかのような安堵感がさゆりを包む。
 特に異常はなかったと告げられ、症状改善のための薬の相談になった。ピルを飲んで生理の操作をするという提案もされたが、基本的に薬をあまり飲みたくないさゆりは、体質改善の漢方を処方してもらう。

 異常はなかったものの、がん検診の結果はすぐにはわからないので、また2週間後に行かなければならない。が、優しく癒し系な先生にまた会えるのが少し楽しみなさゆりだった。



情けない・・・

2006.01.11(22:15)
 無料求人誌でその募集を目にした時、時間が止まった気がした。
 さゆりが好きなショップのバイト募集だ。

 半年前にも募集していたのをさゆりは覚えている。
 その時にも応募しようかどうしようかと悩んだものだった。
 結果、その時は親の何気ない一言でやめてしまった。

 今回もやはり悩んでしまっていた。
 でも、本当は悩む必要なんてないのだ。自分の好きなことが出来る上に、そういうショップにありがちな、長時間のフル勤務でなくてもいいのだ。条件は申し分ない。
 ただ・・・・問題は、体調のことしかなかった。
 それさえなければ、何も迷うことなく応募していただろうことはさゆり自身よくわかっていた。

 それでも、ダメ元で気楽に、勇気を振り絞って応募しよう!そう決意し、その日は床についた。
 それなのに。次の日に、さゆりが応募することは出来なかった・・・

 案の定、体調を崩してしまっていた。
 たいしたことない、といえば、たいしたことはないのだが、今までのことから、体調が思わしくないと、尚更積極的になれない自分がもどかしく、情けない、とさゆりは思う。
 
 今度こそは、ちゃんと応募する。その意思だけは保ちつつ、まずは体調を整えることだけに専念した。



いきなり命令

2006.01.10(17:42)
「就職に有利だから、免許を取れ!」
 正月早々、父はさゆりに言い放った。
 2年以上も仕事をしてないさゆりに反論するすべはなかった。
 しかし、さゆりは思うのだ。自分だって好きこのんで仕事をしていないわけじゃない。体力がない上に、体調まで良くないから、仕事をしたくても出来ないのだ、と。
 
 小柄で華奢なさゆりは幼い頃から体調を良く崩し、人よりも体力がなかった。
 2年以上前に仕事を辞めたのも体を壊したのが原因だった。それ以来、調子を崩してばかりだったさゆりは、家に篭りがちになり、元々少なかったであろう体力が更に落ちるという悪循環を繰り返していた。
 
 そりゃ、免許があった方が就職には有利だろう。
 だが、乗り物酔いが激しく、車やバスに乗ることを出来るだけ避けてきたさゆりにとって、体調の思わしくない今、免許を取るということにかなり抵抗があった。
 
 だからといって、話し合いをするような父ではない。
 この年になっていつまでも働こうとしないさゆりに痺れを切らして、彼なりに考え提案したのだろう。
 例えそれが命令にしかならなかったとしてもだ・・・

 かねてより父のことを良く思っていなかったさゆりにとって、父のこの発言は憂鬱をもたらすものでしかなかった。
 もちろん、父の言うこともわかるし、早く働かねばいけないのもわかる。何より、さゆり自身、この2年以上の間ずっと働きたいとも思っていた。
 ただ、体調が・・・体力が・・・と、なかなか積極的になれないだけなのだ。
 車の免許を取ったからといって、その問題が片付かない限り結局働けないのではないか、さゆりはそう思い、父の提案は根本的なところからして違うのだ、と感じてしまう。

 免許は別に取りたいとは思わないが、もちろん仕事はしたい。
 ならば、早く仕事を見つけるのだ。さゆりは、そう心に誓った。



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